「お盆」と「水辺」というワードから「危険」「近づいてはいけない」と、連想する方も多いのではないでしょうか?
全国にはいろいろなお盆の水辺にまつわる言い伝えがあります。
今回はそんな言い伝えから、お盆の時期の水辺についてお話をさせていただきます。
先ずは、お盆について簡単にご紹介いたします。
Contents
お盆について
お盆は毎年、一度訪れる日本の伝統行事です。
ご先祖様の霊が、あの世から家に帰ってくると言われています。
1年に1度だけの里帰りですので、お供えをしたり、親族一同で集まったりしてご先祖様に満足していただけるように過ごします。
期間は地域によって違いはありますが、一般的には8月に行われる場合が多いでしょう。
そのため、8月以外にお盆を行う地域でも「お盆休み」は8月という企業も多いのです。
2019年の場合は8月13日から16日がお盆の期間となります。
水辺とは
水面に近接している岸の周辺(ほとり)を指します。
- 川
- 湖
- 沼地
- 湿原
- 海 など
これらの岸周辺が「水辺」に当たります。
※海の場合は「海辺」という方が一般的かもしれませんが、今回は水辺に含ませていただきながらお話を進めていきます。
お盆は水辺に近づくなと言われるけどホント?
全国にはさまざまが言い伝えがあると思います。
その中でもよく耳にする言い伝えはこのようなお話ではないでしょうか?
足を引っ張られる(海)
- 海はご先祖様たちの通り道になっているので、海に入って通行の邪魔をすると連れていかれてしまう。
灯ろう流しや精霊流しを知っていますか?
死者の魂を弔って送るお盆の終わりの伝統行事です。
灯ろう流しは灯ろう、精霊流しは精霊船を水辺から流します。
全ての川は三途の川に繋がると言われていると言われているのをご存知でしょうか?
それは、水辺があの世とこの世をつなぐ出入り口だということを表しています。
どの川も最終的には海へと繋がります。
そう考えると、この言い伝えにも納得ができますね。
足を引っ張られる(海以外)
- 河童に引きずり込まれる
川を渡って帰ってくる霊を食べたくて、川に河童が集まっており、そこに近づいてしまうと、生きた人間も襲われてしまうと言われています。
川に引きずりこまれたり、尻子玉(人間にあると言われている架空の臓器)を抜かれて殺されてしまうなどという話があるのです。
想像するだけで、ぞくぞくしてしまいますね。
- 小豆洗い(小豆とぎ)にさらわれる
お盆に水辺に近づくと「小豆洗おか、人取って喰おうか」「ショキ、ショキ、ショキ、ショキ」と歌と小豆を研ぐ音がどこからか聞こえてきて、歌と音に気を取られているうちに、水の中へ誘導されると言われています。
足を引っ張られる(共通)
- 帰る家の無い悪霊が水辺に居座っていて悪さをする。
成仏できずに地縛霊になってしまった霊たちは、あの世にも、生前生活していた場所にも行けずに水辺をうろうろしていると言われています。
そんな霊たちに見つかってしまうと、いたずらされたり、運が悪いと水の中に引きずり込まれてしまうらしい・・・
- 地獄の窯が開き、鬼が海に現れる。
お盆期間中は、地獄の鬼たちも業務をお休みするらしく、水辺からこの世へバカンスにやってくるらしいのです。
そんな鬼たちに会ってしまったら大変・・・
鬼たちの格好の餌食となってしまうと言われています。
このように、水辺に近づいてはいけないという言い伝えは、背筋がぞわぞわっとしてしまう話が多いのですが、ここからはもう少しリアリティのある理由をご紹介させていただきますね。
お盆は水辺が危険と言われるワケ
季節によって気温や湿度などの変化がありますよね?
じつは、水辺にも季節によっての変化が起こっているのです。
海の場合
- くらげ
水温が20度から30度が平均的なお盆の海が、くらげの成長に大きくかかわっています。
実は水温が上がるとくらげは一気に成長をするのです。
「くらげはお盆に大量発生!大量繁殖!」などと聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、実は大きくなっただけなのですね。
くらげには多くの種類が存在しますが、海水浴場でよく遭遇するくらげは「ミズクラゲ」「アンドンクラゲ」「カツオノエボシ」「アカクラゲ」だと思います。
毒性は様々で、この中ですと「カツオノエボシ」が最も強い毒を持っており、刺されるとアナフィラキシーを起こして、ショック死をしてしまう可能性もありますので本当に用心が必要です。
- 高波が起こりやすい時期
この頃になりますと、毎年南から台風がやってきます。
その影響で、突然の高波が起こりやすくなるのですね。
高波にのみ込まれるのも怖いですが、波が引く時の威力もとても怖いので注意が必要です。
- 離岸流
海水浴での水難事故の多くはこの「離岸流」が原因と言われています。
海に行った時、白波がたっている場所との間に、白波がたっていない場所を見つけたことはありますか?
そこだけ波もなくとても穏やかにみえるのですが、実は沖へ勢いよく向かう流れが起きている、とっても危険な場所なのです。
水泳選手でも、この流れに逆らって泳ぎ戻るのはなかなか難しいと言われています。
離岸流の被害にあわないために必要なことは「前もって離岸流を見つける」ことです。
不自然に何のない場所、ゴミがたまっている場所などを見つけたら絶対に近づかないようにしましょう。
少し離れた場所から海辺を見渡すと見つけやすいですよ。
引用:https://images.app.goo.gl/GnKCqoWqzYC4kZA56
その他の理由
- 川の場合は水温が低くなる時があるので痙攣や心臓麻痺を起こしやすい。
川の水は、降った雨が地中を通り湧き出てきているため、源流に近ければ近いほど1年中冷たくなります。
海とは違い、太陽に当たることもあまりないという事も、冷たさの理由ですね。
キレイな場所は源流に近い場所が多いので、温度差などで身体に大きな負担がかかってしまうのです。
- お盆は殺生は禁止
昔から、お盆期間中は生き物を殺してはいけないと言われています。
地域によっては「ご先祖様が虫などの生き物に乗って家に帰ってくる」「ご先祖様が虫などの生き物に宿って家に帰ってくる」などとの言い伝えもあります。
そのため、水辺での楽しみのひとつの「釣り」も殺生と考えられますし、水辺には虫なども多く生息しているため、近づかない方がいいと言われています。
- テンションが上がってしまい、危険に気づかない
普段なかなか会えない親戚や友達と再会できるのも、お盆期間中の楽しみでもありますね。
話で盛り上がったり、お酒なども入ってしまうと危険察知能力は低下してしまうので、いつもだったら気づけることにも気づけない場合が起こります。
- 大型連休は身体に負担がかかってしまっているので、疲れや体力消耗が大きくなっている
企業によってはお盆休みが9連休や10連休などいう大型連休になる場合があり、普段行かない場所に出かける機会も増え、自分では気づかないうちに楽しさと同じくらいの疲労がたまっている場合もあります。
そうなると、注意力などが散漫としてしまう瞬間がどうしても起こってしまいます。
- 水面をみるだけだと、流れがないように見えても実は水中の流れは速いなどという場合が多い。
お盆の水辺にまつわる言い伝えのまとめ
いかがだったでしょうか?
今回はお盆の頃の水辺にまつわる言い伝えについてお話をさせていただきました。
迷信だと思っていたことも元をたどると、しっかりとした理由がある場合も多いのかもしれませんね。
日本には、はっきりと分かれた四季があります。
水辺にも自然現象のルーティーンがあり、その自然現象の怖さの伝え方は、代々いろいろな言い回しに変化し現在に至るのでしょう。
特に子供には、土用波などの説明をしてもよくわからないですよね?
それよりも、妖怪や悪霊などを用いて話をした方が説得力が生まれるのかもしれません。
水辺は素晴らしい場所ですが、危険もいっぱいです。
くれぐれもご注意くださいね。