年始に親類や取引先、仲人など、お世話になった人への贈答品をお年賀と言います。お年賀の由来やマナー、お年賀の人気の品物や相場など、お年賀の選び方のコツをお伝えします。
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お年賀とは?
いっぱんにお中元やお歳暮はお世話になった人へ渡す贈り物ですが、お年賀は昔ほど定着していません。お年賀にはどのようないわれがあるのか、お年賀の時期やお年賀ののしの書き方、喪中のときはどうするかなど、お年賀について詳しくみてみましょう。
お年賀の由来
お年賀は、日ごろお世話になった方への贈答品です。古来から日本には神棚があり、新しい歳神様をお迎えして祀ります。お迎えするにあたって、家を大掃除をして歳神様に失礼に当たらないようにしました。そして、歳神様をお迎えするために門松や鏡餅などの正月飾りをつけます。
そして、お正月の挨拶回りのときに神棚へお供えをするお供え物の「御歳魂(お年玉)」をお互いに持って挨拶回りをしました。そのお供え物が、今はお世話になった方への贈答品になり、それが「お年賀」の由来です。
お年賀は、正月3が日に特にお世話になっている親類や両親、仲人に渡すことが多いです。基本的には、お年賀は家を訪ねて直接手渡します。どうしても遠方などの理由で手渡せない場合は、店舗から直接送ることはNG、一旦持ち帰って、自分の名前で自宅から送ります。
お年賀は、お歳暮を送っている人へは持っていかないことが多いです。お正月に帰省するなら、お歳暮ではなく、お年賀で渡してもいいでしょう。お年賀は目上の人に対して渡す贈答品で、目下の人に渡すものはお年玉です。
親、親戚、仲人、会社の上司、取引先、それ以外にお世話になっている人へ感謝の意味を込めて、贈答品を渡します。基本的に郵送ではなく手渡しです。どうしても遠方や旅行などで留守をする場合など渡せない場合は、郵送する場合もあります。その場合は、店舗から直接郵送するのは好ましくないので、自宅からの発送という形にします。
お年賀には、挨拶や日ごろの感謝を込めて渡すだけでなく、お祝いや喜びを表す「賀」という文字が使われているので「お祝い」の意味もあります。七五三などの節目のお祝いは、数度だけですが、お年賀は何度してもいいお祝いです。毎年、お年賀に挨拶に行っても構いません。
お年賀の時期
お年賀を渡す時期は、正月3が日に渡すのが一般的ですが、その時に渡せない場合は松の内までに渡します。松の内は一般的には1月7日までを指しますが、地域によっては10日までや15日までなど違います。もともとは松の内は少正月の15日とし、鏡開きを20日に行っていましたが、徳川幕府が20日という日を嫌うようになり11日に鏡開きをおこなうようになったため、関東地方では松の内が7日に変更されました。
そのため、松の内は関東では7日まで、関西では15日までとしている地域が多いですが、多少地域により違いがあります。お年賀を渡せず、松の内を過ぎてしまった場合は、「寒中見舞い」として渡します。
お年賀ののし
お年賀ののし紙は、お歳暮やお中元ののし紙と同じように水引は紅白5本で蝶結びです。表書きは目上の人には「御年賀」「御年始」と書き、目下の人には「お年玉」と書きます。お返しも同じ紅白蝶結びで、表書きは「松の葉」や「御礼」とします。「寒中見舞いとして出す場合は、お返しの表書きは「御礼」です。
お歳暮やお中元も同じ水引蝶結びで、表書きは「お歳暮」「お中元」です。のし紙は関東と関西ではデザインが違う場合もあるので、店舗でのしをつけてもらう方がいいでしょう。お年賀ののしは、持参する場合は外のしとしてつけてもらいます。
お年賀の渡し方
お年賀は、紙袋や風呂敷に入れて持参し、その場で紙袋や風呂敷から出して渡します。たとえ親でも紙袋のまま渡すのはNGです。風呂敷も包みをほどいて「御年賀」と書いたのしが見えるように渡します。
喪中の際はお年賀をどうする?
お年賀を持っていく相手側や贈る側が喪中の場合は、前もってその旨を伝えてから、三が日や松の内の間は控えます。松の内を過ぎてから「寒中見舞い」として贈答品を持って挨拶にいきます。その場合の包装紙は、金銀や紅白がないものを選びます。喪中の場合は、相手側にお伝えして年末年始の挨拶を取りやめてもマナー違反にはなりません。
お年賀の相場
お年賀を持っていくとしたら、いくらぐらいのものを持って行ったらいいか、渡す相手によって違います。それぞれのお年賀の相場やどのような贈答品が一般的かをまとめています。
お年賀の相手別の相場
一般的に、お年賀を渡す相手は、親や親戚、仲人、上司や取引先、友人などです。家の財政状況に合わせた金額でいいでしょう。参考までに、それぞれの一般的な相場をみてみましょう。
親へ渡すお年賀の相場
御年賀は2,000円~3,000円が一般的で、中には5,000円くらいの品物を渡す場合もあります。お金で渡すときは5,000円~10,000円が多く、財政状況に応じて30,000円くらい渡す方もいます。お金で渡す場合は、お年玉ではなく、「御年賀」や「御年始」、「賀正」と書いて、下には名前をフルネームで入れ、紅白蝶結びののし袋に入れて渡します。
「お年玉」は、目下の人への表書きなので注意が必要です。お歳暮を送っていない場合は、お歳暮と同じくらいの物を贈ります。
親戚へ渡すお年賀の相場
お正月は、親戚一同が集まることが多く、集まった親戚に渡す場合の相場は1,000円~2,000円くらいのものが最も多く、お菓子など、あとから家族で分けられるものがいいでしょう。人数分より少し多めに準備しておくと安心です。
お年賀は、その親戚同士のつきあいによって異なります。親戚のしきたりに沿ってお年賀を渡すようにしましょう。
仲人へ渡すお年賀の相場
仲人へ御歳暮ではなく、御年賀として持参する場合の金額相場は、結婚してから3年ほど2,000円~3,000円の物を渡します。一般には御歳暮やお中元として送ることが多いです。
上司や取引先に渡すお年賀の相場
会社によっては、お中元やお歳暮、お年賀等を禁じている所があります。前もって、取引先に確認しておく方が無難です。上司へのお年賀の相場は、3,000円~5,000円です。取引先には1,000円~5,000円と取引状況によって異なります。全ての取引先にタオルをくばる会社もあれば、個人的に大きな取引先にお年賀を渡すところもあります。
近所に渡すお年賀の相場
近所で、いつもお世話になった方へお年賀の相場は1,000円~3,000円です。つきあいが深い相手には、5,000円くらいの品を渡す方もあります。あまり高額な品物を渡すと、かえって恐縮されて困る場合があるのでほどほどの品物を渡す方がいいでしょう。
友人に渡すお年賀の相場
友人や知人など日ごろお世話になった人へのお年賀は、1,000円~3,000円ほどが最も多く、中には5,000円ほど渡す方もあります。友人同士の日ごろの付き合い程度に応じて渡します。
お年賀の贈り物のランキング
お年賀として一般的に渡している品物のランキングは次のようです。
- 食品(コーヒー、紅茶、
- 菓子折り(和菓子の方が洋菓子より多い、袋入りが喜ばれる)
- 日用品(タオルなど)
- お酒(甘酒、日本酒、焼酎、ワインなど)
- 消耗品(洗剤や入浴剤など)
一般的に親戚同士で集まる場合は、家主がそこですぐに開けて出せる菓子折りがいいでしょう。親戚に渡すお菓子や食品は日持ちするものが安心です。地元の名産品は喜ばれるでしょう。
最後に
お年賀とは、歳神様のお供え物として持ちまわったことが由来で、目上の人に対して日ごろ御世話になったことへの感謝と年始の挨拶、お祝いの意味で、直接贈答品を手渡します。お年賀の相場は、2,000円~3,000円ほどで渡す相手により異なります。贈答品は食品や菓子折り、日用品が一般的で、地元の名産品等は喜ばれるでしょう。お年賀は、相手方の都合もあるので、必ず連絡をしてから訪ねるようにしましょう。