「きのう何食べた?」第23巻では、ついにシロさんが還暦を迎えるという節目が描かれ、長年の読者にとっても大きな驚きと感動がありました。
この記事では、「きのう何食べた 感想」として、還暦祝いの展開やサプライズ結婚式、読者に深い余韻を与えた終盤の描写についてじっくり振り返ります。
読み進めるごとに胸が熱くなるその理由を、キャラクターたちの成長とともに考察していきます。
この記事を読むとわかること
- 『きのう何食べた?』23巻の感動的な内容
- シロさんの還暦とケンジの結婚式サプライズ
- LGBTQや時代の変化を描いた現代的テーマ
Contents
【きのう何食べた】の感想!23巻は実質最終回?
よしながふみ先生による『きのう何食べた?』第23巻は、ファンの間で「実質的な最終回」との声が上がるほど、大きな節目の巻となりました。
読者が長年追い続けてきたシロさんとケンジの関係が、ひとつの成熟した形を迎える本巻。
その中心にあるのが、シロさんの“還暦”という驚きの展開です。
シロさん還暦に感じる衝撃と読者の現実
物語の冒頭から衝撃を受けた読者は多いはずです。
シロさん、筧史朗がついに60歳=還暦を迎えるという展開。
連載開始当初の40代前半の彼から見れば、時の流れは確かにリアルでしたが、改めて“還暦”と明言されたときのインパクトは計り知れません。
そしてそれは、読者自身の時間の流れも強く実感させられる出来事でもありました。
15年越しの時の流れとキャラの成熟
連載が始まってから15年以上、シロさんとケンジは少しずつ歳を重ねてきました。
この23巻では、そんな積み重ねの時間がキャラクターの心の変化として丁寧に描かれています。
若い頃の尖りや不安が、今では穏やかさや余裕に変わり、還暦のシロさんは「人生の後半」を落ち着いて受け入れる姿勢を見せます。
この自然な成長が、読者にとってもどこか安心できる、心温まる読後感を与えるのです。
サプライズ結婚式に込められたケンジの愛
シロさんの還暦を祝うため、ケンジが用意したのはなんとサプライズの“結婚式”でした。
これまでの2人の関係性を知る読者にとっては、まさかの展開と映ったかもしれません。
しかし、その背景にはケンジの深い思いや変化が込められており、物語においても重要なターニングポイントとなっています。
還暦を迎えたシロさんが受け入れた理由
40代の頃のシロさんであれば、事前相談もなく挙げられた結婚式に激怒していた可能性もあったでしょう。
しかし今の彼は、長年ケンジとともに過ごすなかで、人として柔らかく、寛容な心を育ててきたことがよくわかります。
この「変わったけれど変わっていない」姿こそが、長年の連載でしか描けない成熟したキャラクター表現といえるでしょう。
そして読者もまた、その変化を共に見守ってきた存在なのです。
若い頃とは違う“穏やかな決断”にじんとくる
今回の結婚式には、限られた親しい人々だけが出席し、小規模でささやかなものながら、シロさんとケンジの関係をしっかり言語化する意味を持っていました。
形式にとらわれず、でも確かに「大切に思っている」と伝えるケンジの気持ちが伝わり、読者の心にも深く響きます。
人生の節目にふさわしい、静かであたたかな祝福のかたちがここにはあります。
周囲の祝福とケンジのスピーチが胸を打つ
シロさんとケンジの関係を祝福する場面では、これまで登場してきた仲間たちの言葉が1つひとつ心に響きます。
長い物語の中で築かれてきた信頼関係と絆が、この場に集結しているかのようでした。
そして極めつけは、ケンジが語った感動的なスピーチです。
「20年間生活を支えてくれた愛情」の重み
ケンジが語ったのは、派手な言葉ではなく、共に過ごした時間の積み重ねでした。
「20年間、生活の基盤を整えてくれたのは愛情そのものだった」という言葉は、派手な愛情表現をしないシロさんを思うからこそ出てきた一言。
その重みは、長くシリーズを読んできた読者だからこそ、より強く感じるものだったのではないでしょうか。
目立たないけれど、確かな愛の形が、ここにありました。
積み重ねた日常が語られる感動のシーン
2人の日々のやり取り、些細な食事のシーンや会話が、このスピーチによって意味を持ち直す感覚は非常に感動的です。
ドラマでも繰り返し描かれてきた“日常の尊さ”が、この1シーンに集約されていたとも言えるでしょう。
華やかではないけれど、心に残る。
それがこの作品が長く愛されてきた理由の一つだと、改めて感じさせられました。
悟朗くんのひと言が象徴する新しい価値観
『きのう何食べた?』23巻のラストに登場するのが、小学生の悟朗くんによる「学校で習ったし…」というひと言。
この短いセリフには、現代の価値観の変化と、それを自然に受け入れる次世代の姿勢が詰まっています。
それは物語のラストにふさわしい、未来への静かな希望のメッセージでした。
「学校で習ったし…」が描く時代の進化
10年前には考えられなかったようなことが、今では教育現場で当たり前に教えられる時代になっています。
LGBTQに関する知識や価値観もそのひとつであり、子どもたちは自然とそれを受け入れ始めているという現実。
このセリフは、単なる時事ネタではなく、物語が現実社会と丁寧に向き合ってきた証とも言えるでしょう。
LGBTQを自然に受け入れる子どもたちの姿
悟朗くんのような存在を描いたことにより、『きのう何食べた?』は、“受け入れられる側”から“受け入れる側”の描写にも踏み込みました。
それは、作品が15年の間に歩んできた変化だけでなく、社会全体が変わり始めていることの象徴でもあります。
キャラクターたちが変わったように、読者も、そして未来の子どもたちも少しずつ変わっていく。
このラストの一言が、未来への優しいバトンとして語り継がれていくことを願わずにはいられません。
【きのう何食べた】感想のまとめ;23巻が残したもの
『きのう何食べた?』第23巻は、単なる1巻の続きというだけでなく、作品全体の総まとめともいえるようなエピソードが詰まっていました。
還暦、結婚式、祝福、そして次の世代へ──。
これまで描かれてきた日常の集大成として、深い感動と余韻を残します。
物語としての節目、そして読者への贈り物
読者にとって23巻は、一つの物語の終着点でありながら、決して“終わり”ではありません。
むしろ、これまでの歩みを肯定し、これからを応援するような優しさに満ちていました。
長年読み続けてきた人たちにとって、それは作中の人物たちからの手紙のようにも感じられたはずです。
特別な展開があったというより、積み重ねてきた日々に光が差すような1冊だったと言えるでしょう。
ドラマ版ラストエピソードとしてもふさわしい内容
今回の巻を読んで多くのファンが思ったのが、「これはドラマ版の最終回にふさわしい」ということ。
人生の節目を描きつつ、登場人物たちそれぞれの魅力や関係性が凝縮された構成は、映像化に最適なエピソードとも言えます。
もしドラマがこの先も続いたなら、きっとこのエピソードが最後を飾るに違いありません。
そしてそれは、視聴者・読者にとっても満たされる“お別れ”となるでしょう。
この記事のまとめ
- きのう何食べた 感想として23巻は大きな転機
- シロさんの還暦が読者に時の流れを実感させる
- ケンジのサプライズ結婚式が愛の深さを表現
- スピーチと周囲の祝福が感動を呼ぶ展開
- 悟朗くんのセリフが時代の変化を象徴
- 作品全体のまとめと未来へのメッセージを内包
- ドラマ版の最終回候補としてもふさわしい内容
- 読後に優しさと希望が残る巻として高評価