韓国ドラマ『バリでの出来事』を見ていると、最後まで気になるのがスジョンの本当の気持ちではないでしょうか。
優しく寄り添ってくれるイヌクに惹かれながらも、強烈な愛情をぶつけてくるジェミンからも離れきれないスジョン。その揺れる態度から、「結局どちらを愛していたの?」と疑問に感じる場面も少なくありません。
特に最終回でスジョンが口にする「愛してる」という言葉は、彼女の気持ちを考えるうえで重要なポイントです。また、携帯電話の「1」にイヌクを登録していたことや、終盤までイヌクへの想いが感じられる一方、最後にはジェミンへの愛が示される複雑さが語られています。
この記事では、スジョンの気持ちがイヌクとジェミンの間でどのように変化したのかを振り返り、最終回の「愛してる」に込められた本心について考察します。
この記事を読むとわかること
- スジョンがイヌクとジェミンに抱いていた本当の気持ち
- 携帯電話の「1」から読み解くスジョンの複雑な恋心
- 最終回の「愛してる」に込められた本心と結末の意味
Contents
【バリでの出来事】スジョンの気持ちを推察
『バリでの出来事』を最後まで見ると、スジョンはイヌクとジェミンのどちらが本当に好きだったのか、簡単には答えを出せません。
ただ、二人への態度や置かれていた状況を追っていくと、スジョンはイヌクに純粋な好意を抱く一方、ジェミンにも抗えないほど強く惹かれていたと考えるのが自然です。
恋愛感情だけでなく、貧しさから抜け出したいという切実な願いまで絡んでいることが、スジョンの気持ちを分かりにくくしています。
イヌクに惹かれていったスジョン
スジョンがイヌクに惹かれたのは、単純に容姿や雰囲気が好みだったからというより、自分と似た境遇にいる彼に安心感と親近感を覚えたからではないでしょうか。
イヌクは裕福な家庭に生まれたジェミンとは違い、決して恵まれた環境からスタートした人物ではありません。
スジョン自身も孤児として育ち、兄の借金などに振り回されながら必死に生活しているため、自分の力で這い上がろうとするイヌクの姿は、彼女にとって理解しやすいものだったはずです。
私は、ここがスジョンとイヌクの関係を考えるうえでかなり重要だと感じます。
実際、二人には偶然の出会いが何度も重なります。
バリでは宿泊先の隣室になり、韓国へ戻る飛行機でも隣り合わせになり、その後は住んでいる場所まで近くなります。
スジョン自身もこうした偶然を「縁」のように意識しており、イヌクとの関係には、お金や身分とは別のところから始まった自然な親しさがありました。
さらにイヌクはスジョンに好意を告げ、キスをするなど、自分の気持ちを行動でも示していきます。
スジョンにとってイヌクは、惨めな自分を上から救ってくれる存在というより、同じ目線で寄り添える男性だったのでしょう。
そのため、「スジョンが本当に好きだったのはどちらか」という問いを恋愛の自然さだけで判断するなら、イヌクへの気持ちはかなり純粋な恋愛感情に近かったと私は考えています。
最終的にスジョンがイヌクと韓国を離れ、バリで新しい生活を始めようとしたことからも、彼を自分の人生の選択肢として真剣に見ていたことは確かでしょう。
ただし、イヌクを選んだという事実だけで「ジェミンへの愛はなかった」と結論づけると、このドラマの核心を見落としてしまいます。
拒みながらも離れられなかった理由
ジェミンとスジョンの関係は、イヌクとの関係ほど穏やかではありません。
ジェミンは財閥の御曹司であり、スジョンが欲していた「貧しい生活から抜け出すための力」を持つ一方、彼女を傷つけたり振り回したりする存在でもあります。
そのためスジョンの態度には、好意だけでなく反発、屈辱、打算、憧れ、そして愛情が複雑に混ざっていたと見る必要があります。
好きだから近づく、嫌いだから離れるという一般的な恋愛の図式では説明できないのです。
そもそもスジョンは、裕福な男性と結婚して苦しい生活から抜け出したいという願望を口にしています。
兄の借金によって追い詰められた際には、ジェミンから多額のお金を借りざるを得ない状況にもなりました。
こうした背景を考えると、ジェミンはスジョンにとって「愛する男性」であると同時に「自分の人生を変えられる男性」でもあったわけです。
だからこそ、彼女自身にも自分がジェミンを好きなのか、それとも彼が持つ富や立場を求めているのか、きれいに切り分けられなかったのではないでしょうか。
一方で、ジェミンの側は次第にスジョンへの執着を強め、彼女に会えないことに耐えられないほどの感情を示していきます。
スジョンもそんなジェミンを何度も拒絶しながら、完全には突き放せず、彼が用意した部屋で暮らすことを受け入れたり、再び彼のもとへ戻ったりします。
ここには経済的な事情だけでは説明できない感情が見えてきます。
頭ではジェミンから離れたほうがいいと分かっていても、感情では離れきれないという矛盾こそ、スジョンのジェミンへの思いを象徴しているように感じます。
つまり、この段階で「イヌクかジェミンか」を一人に絞るなら、スジョン自身にも答えは出せなかったのでしょう。
イヌクには安心できる愛と共感があり、ジェミンには理性では制御できない強烈な感情があります。
この二種類の思いの間で揺れ続けるからこそ、『バリでの出来事』の三角関係は単なる「どっちを選ぶ?」という恋愛ドラマでは終わりません。
そして、この曖昧さをさらに象徴しているのが、スジョンの携帯電話に残された「1」をめぐる描写です。
スジョンの気持ちが揺れ動いた理由
スジョンの気持ちがイヌクとジェミンの間で揺れ続けたのは、彼女が優柔不断だったから、と片づけられるものではありません。
恋愛感情に加えて貧困や身分差、自尊心、将来への不安まで絡み合っており、「好きな人を選べば幸せ」という単純な選択ができない状況にスジョンは置かれていました。
その複雑さを読み解く鍵として注目したいのが、携帯電話の短縮番号「1」をめぐる印象的な描写です。
携帯電話の「1」にイヌクを登録した意味
『バリでの出来事』でスジョンの気持ちを考察するとき、携帯電話の短縮番号「1」は見逃せないポイントです。
ジェミンがスジョンに携帯電話を買い与えたあと、その携帯を操作する場面が描かれます。
ここで重要なのは、もともと短縮番号「1」に登録されていたのがイヌクだったことです。
携帯電話を持つこと自体が現在ほど当たり前ではなかった時代の作品だけに、「1番」に誰を登録するのかという演出には、スジョンの心理を読み取らせる意図が感じられます。
少なくともこの時点で、スジョンの中でイヌクがかなり大きな存在だったことは間違いないでしょう。
短縮番号は頻繁に電話する相手へ簡単に発信するための機能ですから、わざわざ「1」に登録する行為には、「真っ先につながりたい相手」「自分にとって近い相手」という心理を重ねて見ることができます。
イヌクとは生活環境にも共通点があり、スジョンは彼の前ではジェミンに対するときほど身分差を意識する必要がありません。
そう考えると、「1」という数字は、スジョンが理想とする自然な恋愛の相手としてイヌクを見ていたことを象徴しているように私には思えます。
ところが、ここで『バリでの出来事』らしいひねりが加わります。
ジェミンはスジョンの携帯電話に登録されている番号を確認し、短縮番号「1」を自分の番号へ変えてしまいます。
スジョンがそのことに気づいた際、激しく怒って元に戻すのではなく、ジェミンらしい行動を理解したかのような反応を見せるところも印象的です。
つまり「1」は、単純に「イヌクが一番好き」という答えを示すだけでなく、そこへ強引に入り込もうとするジェミンと、そんなジェミンを完全には拒めないスジョンという三角関係そのものを象徴しているのです。
この場面を見ていると、私は二人の男性に対するスジョンの感情の違いが非常によく表れていると感じます。
イヌクはスジョンが自分から「1」に置いた男性ですが、ジェミンは自分から「1」の場所へ割り込んできた男性です。
前者にはスジョン自身が求めた親密さがあり、後者には本人の意思だけでは整理できない強烈な引力があります。
「選びたいイヌク」と「入り込んでくるジェミン」という違いが、彼女の揺れる気持ちを非常に分かりやすく表しているのではないでしょうか。
愛だけでは選べない複雑な事情
スジョンを理解するうえで忘れてはいけないのが、彼女にとって恋愛と生活が切り離せない問題だったことです。
スジョンは孤児として育ち、兄が起こす金銭トラブルにも苦しめられ、安定した職にもなかなか就けません。
劇中では裕福な男性と結婚して今の生活から抜け出したいという思いも語っており、彼女にとって「お金」は欲深さの象徴というより、生き延びるための現実的な問題でした。
だからこそ、スジョンの行動を恋愛感情だけで判断すると、打算的で理解しにくい女性に見えてしまいます。
ジェミンは、そんなスジョンが欲しかったものをほとんど持っています。
借金に困れば大金を貸すことができ、仕事がなければ仕事を用意でき、住む場所さえ提供できます。
スジョン自身もジェミンに対し、最初は金銭的に頼れる相手だと思い、その後はもっと欲が出たという趣旨の本心を明かしています。
しかし同時に、ジェミンに心まで許してしまうことには抵抗し、それを自分に残された最後のプライドとして守ろうとします。
お金を求めてジェミンへ近づいたはずなのに、いつの間にか本当に心まで動かされてしまったことが、スジョンをいっそう苦しめたのでしょう。
一方のイヌクには、ジェミンとは違った魅力があります。
自分と同じように恵まれた出自ではなく、能力によって上へ行こうとするイヌクなら、スジョンは「財閥の御曹司に囲われた女性」ではなく、一人の女性として隣に立てます。
その意味では、イヌクとの関係のほうがスジョンの自尊心を保ちやすく、愛情と現実の両方を自分自身の手で選び取れる可能性があったとも考えられます。
最終盤で彼女がイヌクと韓国を離れる決断をしたことにも、こうした「別の人生を始めたい」という思いが重なっていたのではないでしょうか。
ただ、ジェミンを選べばお金、イヌクを選べば愛、というほど単純でもありません。
スジョンはイヌクに恋愛感情を抱きながらジェミンにも心を動かされ、ジェミンの財力を意識しながらも彼自身の不器用な愛情にも反応しています。
だから私は、スジョンの迷いは「二人の男性のどちらが好きか」ではなく、「愛・お金・自尊心・安心のどれを選べば自分は幸せになれるのか」という迷いだったと考えています。
そして最後まで答えを決めきれなかったからこそ、最終回でジェミンに向けて放たれる「愛してる」という言葉が、これほど強烈な意味を持つことになるのです。
まとめ【バリでの出来事】スジョンの気持ちと最後の「愛してる」
『バリでの出来事』でスジョンの本当の気持ちを考えるうえで、避けて通れないのが最終回の「愛してる」という言葉です。
イヌクとバリへ渡ったにもかかわらず、スジョンが最後にジェミンへ愛を告げたことで、「結局、本当に愛していたのはジェミンだったのでは?」という疑問が残ります。
ただ私は、この一言だけでそれまでのイヌクへの思いまで否定するのではなく、スジョンが最後まで抱えていた矛盾そのものを表す言葉として受け取りたいです。
最終回で「愛してる」と告げた本当の意味
最終回では、イヌクとスジョンが韓国を離れてバリへ向かい、新しい生活を始めようとします。
ところが二人を追ってきたジェミンは、スジョンとイヌクが一緒にいるところを目の当たりにし、嫉妬と絶望の末に二人を銃で撃ってしまいます。
そして致命傷を負ったスジョンがジェミンに伝えるのが、あまりにも有名な最後の「愛してる」です。
その後ジェミンも自ら命を絶つという結末を迎えるため、この言葉は作品全体を締めくくる非常に重い告白になっています。
では、なぜスジョンはイヌクと一緒にバリへ来たのに、最後の最後でジェミンへ愛を告げたのでしょうか。
私は、スジョンが死を目前にしたことで、これまで意識的に抑えてきた感情を隠す必要がなくなったからだと考えています。
スジョンは以前、ジェミンに対して自分が最初は彼を金銭的に利用しようとしていたことを認めながら、心まで許さないことを最後のプライドとしていました。
つまり彼女は、ジェミンへの気持ちがないから拒絶していたのではなく、好きだと認めてしまえば、自分のプライドまで彼に明け渡してしまう怖さを抱えていたように見えるのです。
ジェミンはスジョンにお金を貸し、仕事や住む場所を用意するなど、圧倒的な経済力で彼女の人生へ入り込んでいきます。
それだけにスジョンがジェミンを好きだと認めれば、「お金のために財閥の御曹司へ近づいた」という周囲からの蔑みまで肯定するような感覚があったのかもしれません。
しかもジェミンとの関係によって、スジョンは彼の家族やヨンジュから屈辱的な扱いを受けています。
愛しているからこそ近づきたいのに、自尊心を守るためには離れなければならないという矛盾が、彼女の態度を最後まで曖昧にしたのでしょう。
ところが死を前にすれば、お金も身分差も周囲の評価も、もはや意味を持ちません。
自分を守るためのプライドさえ必要なくなった瞬間に出てきた言葉が「愛してる」だったとすれば、この告白は非常に意味深いものになります。
その意味では、スジョンが心の奥底でジェミンを愛していたことを、最後の一言で初めて完全に認めたと解釈することができます。
私はこの残酷なタイミングこそ、『バリでの出来事』という作品が最後まで描こうとした「素直に愛することができなかった人たち」の悲劇なのだと感じます。
スジョンは2人とも愛していた?
それでは、「愛してる」とジェミンに告げた以上、イヌクへの気持ちは恋ではなかったのでしょうか。
私はそうは思いません。
これまでの行動を見る限り、スジョンはイヌクにもジェミンにも、それぞれ異なる形の本物の感情を抱いていたと考えるほうが、物語全体を自然に理解できます。
イヌクと韓国を離れてバリまで行った選択そのものが、彼を単なる当て馬や逃げ道としてしか見ていなかったとは考えにくいからです。
イヌクへの感情には、共感や安心感がありました。
似たような社会的立場から生きてきた二人だからこそ、スジョンにとってイヌクは自分と同じ目線で未来を考えられる相手だったのでしょう。
携帯電話の短縮番号「1」にイヌクを登録していたことも含め、スジョンが自分の意思で近くに置きたいと思った男性はイヌクだったと考える余地は十分にあります。
もし穏やかな環境で出会っていたなら、二人にはまったく違った結末があったのかもしれません。
それに対してジェミンへの感情は、もっと激しく矛盾しています。
嫌悪して離れようとしても気になり、傷つけられても完全には切り捨てられず、利用しようとしたはずが自分自身の心まで動かされていきます。
ジェミンとの間には身分差と金銭が常につきまとうため、スジョン自身も自分の感情が「愛」なのか「欲」なのかを見失っていたのでしょう。
それでも最後に出た「愛してる」を考えれば、最も激しくスジョンの心を支配していたのはジェミンだったと私は考えます。
つまり、「結局どっちが好きだったの?」という疑問に一つの答えを出すなら、イヌクには一緒に生きていこうとする愛があり、ジェミンには最後まで断ち切れなかった愛があったという見方がしっくりきます。
スジョンはイヌクを選んで未来へ進もうとしましたが、死の直前に隠していたジェミンへの愛を認めてしまいました。
だからといってイヌクへの思いが偽物になるわけではなく、反対にジェミンへの思いをすべて打算だったと説明することもできません。
二人への異なる愛情を最後まで整理できなかったことこそ、スジョンという人物の複雑さなのではないでしょうか。
『バリでの出来事』は、「最愛の人を選んで幸せになる」という王道の恋愛ドラマとは正反対の結末を迎えます。
愛していても素直に愛せず、お金がなければ自由にもなれず、社会的な立場の違いによって人間関係までゆがんでいくところに、この作品ならではの苦さがあります。
そして最後の「愛してる」は、単なるジェミンの勝利宣言ではなく、スジョンが生きている間には最後まで整理できなかった気持ちが、死の瞬間になってあふれ出した言葉だったのではないでしょうか。
だからこそ放送から長い年月がたっても、「スジョンが本当に愛していたのは誰なのか」を考えずにはいられない、強烈なラストとして残り続けているのだと思います。
この記事のまとめ
- スジョンはイヌクに安心感と純粋な好意を抱いていた
- ジェミンには反発しながらも強烈に惹かれていた
- 携帯電話の「1」はイヌクへの親密さを象徴する
- イヌクには「一緒に生きる愛」、ジェミンには「断ち切れない愛」があった
- 最後の「愛してる」は、ジェミンへの本心